2020年度理事長所信

 

一般社団法人箕面青年会議所

第55代理事長 荒木 友博

はじめに

 一般社団法人箕面青年会議所(以下箕面JC)は、愛する地域の発展を目的に、1967年7月29日、日本で355番目の青年会議所として確立いたしました。以来、53年間にわたり、その時代ごとの変化に応じた事業を展開することで、地域になくてはならない存在として信頼を得てまいりました。これもひとえに先輩諸兄の不断の努力と地域の皆様からのご理解ご協力の賜物です。これからも、「明るい豊かな社会」の実現への想いは、継承され、時代とともに変容し、進化する必要があります。

 現在の日本では、民主主義が浸透し、治安は良く、教育制度や社会保障制度も整ってきております。日常生活には充分過ぎるぐらい物やサービスが溢れかえっておりますが、グローバル化された社会の中で、訪れたことのない、遠くの国で起こった事が、私たちの国にも大きな影響を及ぼしています。バブルが崩壊した後の「失われた20年」を経験し、政府は経済指標が回復してきた、株価は上昇していると言いますが、日本に住み暮らす、地方の方々は、その事を未だ実感できていないように感じます。先進国の中でも同様に、人口減少が始まり、少子高齢化に拍車がかかっています。また、想定外の自然災害が日本各地で起こり、その被害は甚大なものになっています。気づかないうちに、当たり前だと思っていたものがそうではなくなってきているのです。これまでの成功体験が通用しない社会になっています。この予測のできない状況が、漠然とした不安につながっているのではないでしょうか。時代は確実に大きな転換期を迎えており、さながら、「昨日と変わらない今日が来て、今日と同じ明日が来る」そう思っている人は多いように思います。我がまち箕面市に視点をかえてみると、「子育てしやすさ日本一」を掲げ、保育所の増設や医療費の助成により、環境は整備され、市内には約200カ所もの公園があり、豊かな自然に囲まれ、大阪でも有数のベットタウンとして、多くの方々は、日々満ち足りた生活が出来ております。そして、緑豊かな山麓部を守り・育て、活かすために、多くの地域を支える団体があり、住み暮らす市民にとっても、素晴らしい支えになっています。大きな志がある箕面市民だからこそ、さらに素晴らしい姿へ変える力があるのにもかかわらず、今ある現状に満足し、「未来のための新たな可能性」を目指すことへの障壁になっているのではないでしょうか。こうした社会問題は、個人として、取り組むことが難しい問題だからこそ、「ひとのわ」を広げる必要があります。今年度箕面JCは、グローバルな視点で物事を捉え、地域コミュニティの一員として、未来を意識した、まちづくり運動に取り組みます。そして、人と人とを「つなぐ」ことで、新しい価値を見出し、箕面のまちを想い、人を想い、世界中に展開する組織として、何度でも挑戦します。大小かかわらず、「未来のために新たな価値をつなぐ」ことを礎として、青年会議所運動を推進してまいります。

 

夢と笑顔を未来へつなぐ

 なぜこのまちの未来を、本気で考えなければいけないのでしょうか。それは将来このまちに暮らすであろう、子どもたちのためと言っても過言ではありません。子どもたちを取り巻く環境は、私たちが幼少期を過ごした頃と大きく変化しています。生まれながらにしてIT機器やインターネットが普及した環境に育った子どもたちが当たり前になっています。今年度からは大学入試センター試験が廃止になり、新しい試験制度が導入されます。今までの単一的な教育、知識詰込み型の教育から、個性を伸ばす教育、より思考力や判断力を伸ばす教育、表現する力を養う教育へと移行していく風潮になっています。グローバル化された現代で生き抜いていくには、自分自身で考え抜く力、自分自身を表現する力が必要となってきています。子どもというものは、もともと好奇心が旺盛で色々なものに興味を持ち、挑戦をしたがるものです。そして、それぞれがなりたい夢を持ち、目を輝かせています。それが次第に現実的思考になっているように感じます。宇宙にロケットを飛ばしたい。歌手で成功して有名になりたい。メジャーリーグで活躍したい。子どもたちの持つ個性や夢を、気づかないうちに私たち大人が奪ってしまっているのではないでしょうか。子どもの将来を本気で思う親だからこそ、安定した職業を委ねてしまう言葉を発してしまうのかもしれません。子どもたちの可能性は無限大です。だからこそ、私たち大人が子どもたちの可能性を奪わないようにします。そして、課題を考えるきっかけを与え、子どもたちに、無限の可能性があることを伝え、未来を感じてもらいたいと思います。これからはさらに、大人も子どもと一緒に学ばなければいけない時が来ています。それぞれが違って当たり前なのだと個性を認めることができる場、夢を探している子どもが夢を持つきっかけとなる場、夢を抱いている子どもたちの後押しができる場、そんな場をこのまちに一つでも多く作っていくことが大切です。

 子どもたちの論理的思考力を高めるために、従来の日本の教育のよさを生かしつつ、新しいスタイルを柔軟に取り入れていく姿勢が必要だと考えます。今年度箕面JCは、未来を担う子どもたちに、批判的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力を通じて、知識技能の習得だけでなく、それらを「活用」した思考力や判断力、表現力の育成を重視した、コミュニケーション能力を育んで参ります。そして、本年度は、1964年以来、実に56年ぶりに東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される特別な年です。スポーツを通じて、地域の未来を担う子供たちが、グローバルな視点で、未来へつなぐ夢と笑顔の大切さを伝えていきます。人と人との交流は、地域と地域を結ぶ可能性を十分に秘めており、これらの事業一つひとつが、社会生活に必要な徳性の場となることを信じて邁進してまいります。

 

 

「ひとのわ」の想いを未来へつなぐ

 青年会議所は、20歳から40歳までという限られた期間の中でしか活動できない組織です。つまり、常に新たな仲間を迎え入れなければ会員数が減少し青年会議所運動の力が失われてしまいます。そのため、常に継続しなければならなく、最も直接的で効果的な運動が会員拡大運動なのです。仲間が増えれば増えるほど組織は力強い運動を展開でき、また、私たちと同じ志を持つ仲間が地域に一人でも多く増えることが、我々の理想とする「明るい豊かな社会」に近づくこととなります。運動を行うためには、様々な立場の方を対象にしなければ達成に近づきません。「人は人によって磨かれる」というように、ともに研鑽できる様々な仲間が必要です。今年度の箕面JCは、その機能を最大限に発揮させ、さらに成熟するために、どんなことがあっても多様なバックグラウンドを持つ仲間を必要としているのです。そして、メンバーの拡大を考え、強い組織を作ることで、力強い運動を展開します。社会には、私たちがまだ出会っていない、出会ってはいるが意識していない「想い」をもった多くの人財が数多く潜んでいます。一人ひとりが多くの「想い」を発掘し、人の輪をつなげるために、常日頃からアンテナを張って、今年度は、メンバー一人ひとりが正しい会員拡大意識を持ち、未来へつなぐ原動力をさらに進化させていくよう邁進してまいります。

 

 

自身の強みを未来へつなぐ

 私は2016年にご縁を頂き、箕面青年会議所に入会いたしました。ともに集まった仲間たちと真剣にJC活動をしていく中で、自分の貴重な時間や労力を割いてまで、このまちのことを真剣に考える人がいて、箕面JCの活動が大きな運動へと広がり、このまちにたくさんのものを残してきたことを知りました。「未来を担うのは、今を生きている全ての人であり、一人ひとりに存在意義はある。身の回りにしか目が行き届かなくても、視点を少し変えるだけで、誰かの役に立ち、それが、日常を素晴らしいものに変えることができる。」これは、私が箕面JCで一番に学んだことです。そのきっかけとなる「想い」を理解したのは、「自分は何のために生きるのか。」と自らに問いかけた時でした。そう考えた時、自分ではない大切な人の顔が浮かんできます。人は、誰かのためを想うときに本気になり、力が生まれます。大切な人が住み暮らすまちに貢献したいという行動も、大切な人を想う気持ちの延長線上にあり、大切な人を想うだけでは終わらないのです。その原点である「想い」によって、人のために生きようとすることができるのだと考えます。企業においても、家庭においても、地域においても「想い」とは対象が自身ではなく他のためであること。「明るい豊かな社会」を築くため、今も時代の変化とともに手法はかわれども、引き継がれてきており、利他のために、情熱を燃やす「想い」を知りました。一人ひとりの存在意義を理解し、視点をかえる柔軟性を身につけ、箕面JCでしか体験できないことを通じて、成長し、まちに、人に、影響力を与えられる組織を推進してまいります。

 

 

理性と感性を未来へつなぐ

 箕面JCは、現在、先輩諸兄が信念をもって創り上げてきた組織体制や、様々な団体との信頼関係のもと、運動を発信できる基盤があります。「明るい豊かな社会」の実現のために、時代の流れをいち早く読み取り、組織運営をより進化させ、基盤をさらに盤石にしなければなりません。そして、青年会議所は、会議で議論を繰り返し、徹底的に追及することで、事業を構築し、信頼関係が築かれていきます。しかし、理性に偏りすぎている反面、発信力という感性の弱さが課題として挙げられます。箕面JCには、様々な団体とのつながりや、メンバー一人ひとりが有しているコネクションが間違いなく存在しますが、広報に充分に生かし切れていないのが実情です。組織の盤石な体制づくりと、効果的な運動発信について、今一度再考する必要があります。本年度は、先輩諸兄の積み上げてきた、秩序ある運営基盤を活かし、箕面JCへの信頼をさらに盤石にするため、厳粛な組織運営を行います。また、多様なバックグラウンドを持つ仲間と、他団体とのパートナーシップを積極的に活用し、「つながり」を活きた情報として集約し、共有した上で、広報戦略を立てます。盤石な組織基盤のもと、事業の効果的な運動発信と、多様な価値観を大事にすることで、感性を強化し、人々の共感につなげ、多くの信頼を獲得することを目標として掲げてまいります。

 

 

誇りと絆を未来へつなぐ

 私たちには、国際青年会議所、日本青年会議所をはじめ、近畿地区協議会、大阪ブロック協議会など、多くの出会いと学びの機会が与えられています。現在の箕面JCのメンバーは、それぞれが自分に誇りをもてる得意分野をもち、それを生業として仕事をしていますが、更に外に目を向ければ、自分が全く触れてこなかった世界が無限に拡がっているのです。箕面JCの外に出て活動をすることは、違う文化に触れる経験ともいえるでしょう。その貴重な経験をできるだけ多くのメンバーに体感してもらうことは重要なことです。時として、苦手な壁を迎えることもあります。その壁に立ち向かう想いを全力で支えることのできる組織体制をつくります。そしてその出向メンバーが得た学びを箕面JCに持ち帰り、共有することで絆が伝播し、更なる成長に繋げてまいります。

 

 

「今」を未来へつなぐ

 箕面市は市政や様々な地域団体により、成熟されたまちではありますが、まだまだ、様々な課題を抱えています。今日明日の取り組みでは、解決の難しい問題もあります。

まずは箕面JCが、懸命に「今」を生き、さらに一歩を踏み出す勇気をもつことができれば、それはわずかであっても確実に「明日」を動かすことができるものと確信しています。そのような「今」と「明日」の繰り返しが、やがては大きな変化をもたらし、明るい豊かな社会の実現へとつながると信じ、私たちが大好きな箕面のために、「今」を大切に、確実に歩を進めてまいります。

 

 

むすびに

 人と人のつながりは、たとえ遠く離れていても、しなやかな糸のように、流されることなく、様々な生きた情報を与えてくれます。激動のグローバル社会を生き抜くために、未来にむけ、考え方の枠組みとして「ひとのわ」という輪を拡げてまいります。

本年度の箕面JCは「箕面ひとのわ~つなげよう今を・つながろう未来へ~」をスローガンとして、メンバーが一丸となって、様々な事業を全力で展開し、決して切れない糸を創造し、邁進してまいります。

 

 

「スローガン」 箕面ひとのわ~つなげよう今を・つながろう未来へ~

 

「基本理念」  未来のために、内向き意識と外向き意識を強固にし、調和する両輪であれ。

 

「基本方針」  未来のために新たな価値をつなぎ、「今」を大切にする。

 

「行動指針」

1.夢と笑顔を未来へつなぐ

2.「ひとのわ」の想いを未来へつなぐ

3.自身の強みを未来へつなぐ

4.理性と感性を未来へつなぐ

5.誇りと絆を未来へつなぐ

6.「今」を未来へつなぐ